啓示者というのは、生まれつき特別だったわけではない。幾多の試練を乗り越えた先に得る称号だ。

血を吐き、泥をすすり、何度絶望の淵に立たされようと決して膝を折らなかった証左でもある。


肉体は無数の傷を刻み込まれているが、それは精神にも言える。培われた耐性は多少の事では動じない。

食べ物に毒を混ぜるくらいの事はもはや日常茶飯事。あっさり死ねるのならその方がどれだけ楽か。


0920_01

人を呪わば穴二つ。気持ちよく破壊工作に興じている間に何やら後方がきなくさい。物理的な意味で。

向こうには置物同然の爺さんがいる。テイラーなら大丈夫だろうが、抱えて逃げるのは無理だろう。


まずは安全の確保、物資の避難。それから原因の追求。ただでさえ抵抗軍は数の上で劣っている。

総大将が留守にした途端、本陣を崩される程の劣勢という不安を芽生えさせるわけには行かない。


0920_02

多少けが人は出たようだが、まだ今の所死者は出ていないようだな。まぁ、心配はいらない。

死んでたら死んでたで死霊術に再利用するまでだ。むしろその方が使い勝手は良いな。ハハハ!


それより向こうの狙いも補給物資の破壊工作か。さすが、元は同じ窯の飯を食った仲間だな。

考える事は同じってわけだ。もはや奪還は秒読みで補給物資など要らんが、好き勝手などさせん。


0920_03

モンスターを引き連れ、揚々と襲撃してきた謎の老人。どうやら団長側に与する長老らしい。

何故抵抗軍の陣地の背後から現れたのかは不明だが、啓示者様が来たからにはジエンドだ。


長老ともあろうものが、使役するのはそんな雑魚でいいのか? ならば余が手を下すまでもない。

ふっ、いでよ、我が精鋭たちよ。恐れ多くも余に楯突いた哀れなゴミクズ共を八つ裂きにするのだ。


0920_04

あのー、テンプルちゃん? 敵を倒せとは命令したが、その最終目的は補給物資の保護だからね?

サラミオンのサラちゃんはとにかく興奮状態で辺り構わず火を付けている。コイツは最初から駄目だ。


多少の損害は仕方がないんだけど、あんまり派手に散らかさないでね・・・抵抗軍の視線が痛いから。

結局、敵は居なくなったが、物資も燃え尽きてしまった。まぁ、命があるだけ儲けもんだろ、なぁ。


0920_05

総指揮官が居ない間、駐屯地の責任者はあの爺さんらしい。ならば敵の襲撃について報告しないとな。

テイラーは隣のケガ人も気掛かりそうだが、一番は補給品が燃え尽きた事を報告したくないのだろう。


多分、代わりに連絡しに行ってほしいんだろうな・・・だが断る。それはもう完全に下っ端の仕事だ。

本来は女神の代理である啓示者が、貴様ら下々の者と対等に会話することすらありえないのだぞ。


0920_06

なんてちょっとからかってやったら、顔を真っ赤にして走っていくテイラーさん。フハハ。愉快。

というか、ラムナスなんざほんの目と鼻の先だろうが。この距離で人に頼むとか普通におかしいから。


さて、その間に奴らが後方から襲撃できた理由を探らなくてはな。恐らくはワープ装置があるはずだ。

抵抗軍の駐屯地を難なく潜り抜け、装置を設置したのは相当な手練に違いない。油断は禁物だ。


0920_07

・・・また違う形のワープゲートだな。テブリンの時とも幻想図書館の時とも異なる形状だ。

魔族の技術も日進月歩か。見張りも居らず簡易な隠蔽のみという所を見ると、相当な自信作らしい。


性能向上に加え、複雑な様式と強固な防護を施したのか。人間如きには手も足も出せぬだろうと。

だが、女神の加護に不可能はない。初見だろうが一発で看破、解体も朝飯前よ。ほい、ぽちっとな。


0920_08

辺り一帯を巻き込む大・爆・発。そうか。壊せないんじゃなく、壊すと自爆する方だったか。賢いな。

だがこの程度で壊れるようなやわな肉体じゃ啓示者は務まらん。破片すら残らんレベルが最低限だ。


しかし残念ながら原子レベルまで分解されたとしても、女神の加護は即座に肉体を再構成するだろう。

女神の敵は死ぬしか無い。女神の眷属は死ぬことが無い。幸せなのは、果たしてどっちだろうか。